読書感想【犬が星見た】(武田百合子)

読書感想【犬が星見た】(武田百合子)

米原万里の、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」
(↑余談ですがこれは何処かにも書いてあったけど、タイトルでは想像つかないほど面白いドキュメンタリー小説だと思う)
を読んで、友人と話した時にお勧めされたのが、こちらの本、武田百合子【犬が星見た】。

早速ブックオフオンラインでポチって、北京に持って帰って約1年積読していたのを、
最近ようやく掘り起こして読みました。

結論から言うと、もっと早く読んでおけばよかった。
シベリア大陸横断してみたい〜・・・!

時代は昭和44年(西暦1969年)
船でナホトカまで行き、汽車と飛行機を乗り継いでコペンハーゲンまで行く約1ヶ月の旅の記録です。

毎日食べたものが過剰書きで書かれているのだけれど、
パンとか、羊とか、きゅうりとか素朴な料理ばかり。
でもその後に添えられている一言にハッとさせられます。

【○黒パン 白い丸パン
 ○キャビア、燻製のいわし油漬二本
 ○こうし肉バター焼き
 ○きゅうり薄切り三片とねぎみじん切り、あんず二個
 ○紅茶とケーキ
何ておいしいんだろう。輸入しないでみんなが我慢して頑張って働いている国の食物だ。
粗末に扱ってはいけないなーそのしんみりとしたおいしさのせいか、二宮金次郎のような気分になった私は、
一個残した紅茶の角砂糖を手提鞄にしまって、あとで大切にかじることにした。】

なんだかほっこりあったかい気持ちになるとともに、
消費生活に慣れてしまった私の心にズシリと何かが響く・・・。

他にも、売り物ではない看板を譲ってもらった時に、
お礼に折り鶴を渡して喜ばれたくだりなんかは、
これから私も折り鶴持って旅しようと思わずにはいられない。笑

一緒に参加している80歳の老人もパワフルでいい味を出している。
「卵が一番栄養じゃ。卵はどこでも同じ、卵さえ食べときゃ安心じゃ」
の言葉には私も大納得。

せわしない世の中で、大陸のゆったりとした時間を感じる一冊となりました。

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